交通機動隊での取り調べ

 取り調べは7時間にも及び、苛烈を極めた。
 青切符を通常裁判希望したらどうなっちゃうのかシリーズ。
陳述書 : N/A
前回はこちら。
 2月に出頭して取り調べを受けてきた。9時に始めて終わったのは16時を過ぎていた。「苛烈」って部分は嘘ね。休憩したくなったりトイレに行きたくなったらいつでもOK、何とタバコも建物内では吸えないけどOKとのことだった。
 自主的に用意したもの。
・陳述書
・メモとペン
・印鑑。これは持ってくるよう指示されていたかもしれないけど、朱肉なしで押せる三文判があったのでそれを持参した。
 9時前に到着。準備を整えて入口へ向かったところでこれから出撃するらしい白バイ隊の皆さんと遭遇。
「交機隊のS巡査の呼び出しです」
お、噛まずに言えたぞ。陳述書を持ってるだけで何かこう、心の余裕が違うのかもしれん。もちろん基本的にいっぱいいっぱいなので、ほんの少しの心の余裕なのだが、これが案外効くようだ。
 取調室に通され、説明を受ける。ミランダ準則はないけど、まあそれに近いことをかみ砕いて説明してくれた。何しろ白バイ隊員というのは対人スキルが求められるから、取り調べは終始和やかに進んだ。時々突っ込みを入れてくる班長と呼ばれていた上司らしき人はちょっと当たりがきつかった。
 取り調べスタート。まずは身上書のようなものを作るらしい。かなりいろいろなことを聞かれるので、正確に答えていく。職業、出生地などから始まり、酒は飲むか、タバコは吸うか、収入は、資産は、預金は、健康状態はどうかなどなど。現在通院中の病院があったので、診察券を出して説明。どこの何病院なのかまで情報としてあった方がいいようだ。さらに、免許の取得はいつか、更新はしているか、失効したことはないか、過去の違反についても。確か前回の更新の前に指定場所一時不停止でやられたことがあるのを覚えていたので、説明した。
 過去の違反については自分でも気になったので後日運転記録証明書を申請してみたのだが、「過去5年間」なのに見事に記録から削除されていた。意味ねぇ。とはいえ、たぶんこの特例で削除された分もどこかに記録は残っているんではないかと推測される。
 聞かれて一番困ったのは学歴と職歴。これ空で言える人いる? 私の場合、過去にボツになった履歴書をたまたま持っていて、これが非常に役に立った。複雑な心境。
 ともあれまずは完成。巡査が読み上げて、私が自分で読んでみて、納得して署名捺印。さらに、全ページに捺印。巡査の方は全ページに割り印をして、手書きで何か書き込んでいた。チラッと見えた肩書きが「司法巡査」となっていて軽くビビる。検索すればすぐわかるんだけど、あまりびびるようなことではなかった。
 さてここからが取り調べ本番。いざ調書という空気になったので陳述書を提出した。班長が電話で受け取っていいかどうか確認した結果受け取ってよいということになったらしく、受け取ってもらえた。しかも、陳述書に合わせて取り調べをしてもらえた。これは大変幸運であった。私の場合話すより文章にまとめる方が得意だし、わざわざ逆に言わなくても十分なくらい口下手だから。場合によっては陳述書を受け取ってもらえないこともあると聞いていたのでちょっとほっとした。口で説明してぐだぐだになった挙げ句
「被疑者の説明は二転三転しており信憑性がない」
とかやられたら目も当てられない。もちろん裁判になれば負けは確定だが、できることはちゃんとやる。
 会話しつつ、巡査が状況を図に書いてくれたりしたのでここがこうで、と説明しつつ進行し、調書が作成されていく。
 面白いものも見せてもらえた。違反者には交通反則告知書を渡して、警察が持って帰る方。追尾式取り締まりのテンプレができてる。簡単な図になってて、「違反車両の後方1mで200m追尾」とかそんな感じ。千葉県警は200mらしい。せっかくなので話も聞かせてもらった。違反場所はちょうど白バイが隠れるポイントから本線に合流してくるスピードの乗る道だった。絶好の取り締まりポイントなのは知っていたので目視とミラーで確認していたのだが、既に合流ポイントで死角に入っていたとのこと。左後方、ミラーで見えない位置。さすが白バイ、見事だ。つーかどんだけ加速早いんだよ。で、だいたい90km/hの測定結果だったから、200mだと計算すると死角に入って赤色灯を点けて7-8秒追尾。メーターをストップして左のミラーに映る位置に移動してサイレン。
「ぎゃぼー!」
の瞬間である。
 ちなみに巡査の白バイは800ccだそう。休憩時間に他の隊員がバイクを動かしているのを見かけたのだが、180度ターンをすごい回転半径で軽々とこなしていた。自転車みたいに軽々と。無理無理無理絶対無理。
 今回の取り調べで一番しつこく聞かれたのが、違反事実を認めているにもかかわらず通常裁判を希望する理由だった。いやー、そこはNGワードがあってね。
・面白そうだから
・起訴猶予になれば超ラッキー
・反則金が払えない
これだけは絶対に口を割れないので、どうしても供述があやふやになってしまう。別に裁判がしたいわけじゃないのだ。それでもどうにかして調書を作ってくれたのだが、読んでみるとなんか裁判したさげ。そう受け取られては困るので、最終手段を発動。
「ここは『話したくないこと』ってことで削除してもらえませんか」
直してもらった。この部分も含めて、徹底的に文章チェック。誤字脱字や日本語のおかしいところなどばしばし指摘する。何しろこれに署名捺印をしたら実質的に変更はきかないから。そして、調書完成。
 班長は今からでも反則金払って終わりにできるよ。時間経ったらダメだけど。とか言ってくるし。調べてみたら検察でも反則金払って終わりにできるよ攻撃があるらしいじゃないか。
「あとは写真撮らせてもらって終わりですから」
あ、それがあった。てっきり車を四方から撮影して終わりなのかと思ったら、「私だ。違反したのはこの車両だ」と車を指差す本人出演プレイが付いてきた。ああああ。間抜けだ。すごい間抜けな写真ができあがる。間違いない。いやはやまいったね。
 そんなわけで夕暮れの中安全運転で帰路についたのであった。
 次はいよいよ検察の呼び出しである。……3か月経っても呼び出しの通知が来ないんだけど何だろう。そろそろ来るのか? 来るのか? ドキドキだ。