一心不乱の大漏水

 我が家には受水槽が存在する。これは家の建築時に水道管の径が足りなかったためのやむを得ない措置で、水を一旦タンクに溜めるのだからデメリットは多い。とはいえささやかなメリットもあって、水道工事で断水しようとも、幹線が爆発して周囲一帯断水しようとも、約1立方メートルの水が残っている限り問題なく使えること。送水ポンプがある程度強力なため、風呂桶にお湯を溜める時以外水圧の低下が感じられないといったことが挙げられる。
 構成としてはだいたいこうなる。
市の水道管→メーター→受水槽→↓ここで分配して二軒に給水→我が家のメーター
 18日午前3時前。私は酒を飲んでいて、そろそろ寝ようかという頃合いだった。トイレに立ち、水を流す。……異常にに水圧が下がっている。手を洗う時も同様。2階だったので症状が顕著に表れたのが幸いした。確認のために階下に降りても変わらず。これは、どこかで水がダダ漏れになっている。エマージェンシー発令。やれるとかやれないとかはいい。ダメージコントロールを急げ。
 部屋に戻ってLEDマグライトを持ち、運悪く起きていた弟と相談した結果、やはりおかしいということで受水槽からの出力を止めに向かった。植物をかき分けて進む。秋口でよかった。真夏だったら植物の元気がありすぎてたどり着くのにさらに苦労するところだった。
 ……家の水道はほぼ全て閉じているにもかかわらず、受水槽のモーターは全力運転をしていた。ああ、やばい。モーター故障の線は消えたが、どこかで水がダダ漏れになっている。バルブ全閉。えいえいえい。これが堅くて、今でも手が痛い。モーター音が止まって、今度は受水槽に流れ込む水の音が聞こえてきた。これまた勢いがいい。こいつは相当な勢いでタンクの水を送出したな。
 ひとまず水の大元を止めたことで考える時間ができた。
・受水槽から我が家
・受水槽から祖母宅
まずはこの二択。それぞれの元栓を閉められれば切り分けも楽だったのだが、あとから聞いた話によると祖母宅にはメーターも元栓も存在しないのだという。我が家の方にはあるはずなのだが、約1平米の範囲を捜索してもメーターが見つからない。だいたいこの辺にあるはずなのに、土と木の葉が堆積して夜中には見えないというひどい有様。
 水をダダ漏れにさせるわけにはいかないので、断水を決定した。弟が当面の水を確保。私が漏水を承知で一時的に水栓を開けておく担当。そして準備が整ったので、夜明けを待つ。
 市の水道部は時間外。アナウンスで、たぶん関連すると思われる財団法人の水道サービスセンターに案内されたので、案内にしたがって電話。まぁその前に、ぼられるのは嫌なのでどういう組織か把握しようと思ったんだけど、たいした情報はなかった。夜勤の人が電話に出てくれて、0830時に予定を入れてくれた。
 朝。
 母が起きてきたのでメーターの位置に案内してもらう。……うわ、やっぱり木の葉の下に埋まってやがった。水栓閉。受水槽の栓を開けたらやっぱり送水が始まった。とりあえずは我が家が白だということだけはわかったが、漏水ポイントの特定には至らない。
 引き継ぎが完了した。いきなりの断水では困る等々の意見を受け入れて再度水の蓄積に入る。完了。
 私、寝。
 あとは話を聞いただけになるのだが、業者が来てチェック。実際に水を流してみて漏水箇所を探すわけだが、
「こっちの方では音がしない」
と、我が家の方に引いている水道管は白と判断、祖母宅の方の鍵を開けてほしいと言ってきたという。おお、職人の仕事かねこれは。
 結果、祖母宅の水回りをチェックしたらトイレ側で漏水音を確認した。外の配管が爆発していたらしい。掘り返して修理。
 一万円也。
 実は漏水問題はだいぶ前から疑いありとの連絡が入るくらい水道料金が異常だったのだが、これでようやく解決した。ああ、疲れた。