右手麻痺、自動車を運転する

「ああまったく。危なっかしくて見ておれぬ。私がそなたの右腕となろう」
「それって」
「そなたの故郷の言葉に合わせてみようと思ったのだが……」
「ちょっと意味合いが違うよ、ラフィール」
「そうか」
「だから僕から言わせてくれないか」
「君の遺伝子がほしい」
 橈骨神経麻痺発覚から1週間。定期通院日がきて、ハンドルを握るしかなかった。症状はというと、ほぼ変わりなし。ついでに言うと肘の内側が痛い。私はどこのピッチャーか。
 さて。久々の車だ。インテリジェントキーのおかげで解錠は難なくできた。ドアを開けて運転席に乗り込み、左手でシートベルトを引き、右手を軽く添えつつロック。ドライビングポジションOK。なんだ、いけるじゃないか。
 ……エンジンがかけられない。では左手だ。エンジン始動。あっさりできるなんて、いい時代になったもんだ。
 両手でハンドルを握って、そろそろと直線を流す。公道に出るには直角左折。勝負だ。
 ぎりぽ。
 出る先は5ナンバー離合困難な道。ミスでブレーキを踏む事態にはならなかったが、思ったよりふくらんでしまった。舵角の大きい左折は要注意か。直線や左コーナーは問題ない。
 そして問題は右手のみの操作系。ウィンカーが指先で操作できない。ハンドルを一旦離して手を当て、腕で動かす。再びハンドルを握り直すのが一苦労。これが頻繁にあるから困る。徐々に慣れはしたが。雨だったので試していないが、窓の開閉も練習がいりそう。後は有料駐車場が怖い。左手届くかな。ミラーが当たるギリギリまで寄せるのには慣れてるので、めいっぱい寄せてがんばるか。
 車がないと生活できないエリアはこういう時大変だわ。