母のグラスコード

 母は昔から目がいいのが自慢。しかし、老眼は出る。
 老眼鏡は父の見立てで作ったらしいのだが、何しろ使わない。メガネをかける習慣がない人が、近くを見るときだけメガネをかけるのは余計に面倒なのだろう。
 見かねた私は、母の誕生日プレゼントにグラスコードを買った。きらきらのチェーンタイプ、グラスチェーンとでも言うのだろうか。ああいうのは嫌いだろうと思って、紐タイプのグラスコードをプレゼントした。まさにコード。
 これが案外好評だった。メガネの方がさりげなく装飾を入れてある高そうなフレームだったので、グラスコードの明るい色がフィットする。
 プレゼントしたのは、去年だったか一昨年だったか。グラスコードをメガネにセットして、これこれこういうふうに使うんだよと教えた。それでもまだ抵抗はあったらしく、普段使いにはしてくれなかった。
 今年に入ってからだろうか。手帳に細かいことを書き込むときに老眼鏡を使うようになっているのを目撃することが多くなった。それでもまだ虫眼鏡使うけど。
 スーパーの小さい値札がわからなくて「これいくら?」とか聞くんだから、そろそろスマートな老眼鏡使いになってもいい頃ですよ、母上。